ローマ帝国の国境線(世界遺産登録:1987年、拡大:2005年、2008年)

「ローマ帝国の国境線」は、元々「ハドリアヌスの長城」として1987年に世界遺産に登録されました。

しかしその後、ドイツのリーメスにあるローマ帝国国境線が追加登録になり、名称も「ローマ帝国の国境線」に変更。

更に2008年にはイギリスの「アントニヌスの長城」が加わり、2カ国3物件で構成される世界遺産になりました。

ここでは英国内の2箇所について説明します。

古代ローマ帝国がグレート・ブリテン島に侵入してきたのは紀元前43年のことです。

そして、紀元122年、ローマ皇帝ハドリアヌスがイングランドを視察した際、ケルト系ピクト人が南進してくることを防ぐために防壁を建設するように命じました。

場所は、現イングランドとスコットランドの境界線付近です。

その防壁はわずか2年で完成しましたが、西海岸と東海岸を結ぶ全長120kmにもなる壮大なものです。

この防壁は、皇帝の名に因んで「ハドリアヌスの長城」と名付けられました。

一方、「アントニヌスの長城」は、同じく北方民族の南進に備えて造られたもので、クライド湾とフォース湾を結ぶ全長約60kmの防壁です。

しかしこちらのほうが先に放棄され、傷みが進んでいきました。

現在は、ハドリアヌスの長城は自然景観と一体化した雄大な景色に変貌し、独特の雰囲気を醸し出しています。

アントニヌスの長城は殆ど残っていませんが、一部の地域でその痕跡を見ることができます。

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