エディンバラは、圧倒的な美しさを持つ町です。
旧市街地には中世とスコットランドの宗教改革時代の面影が色濃く残り、新市街は区画整理された統一感溢れる美しさがあります。
そもそもエディンバラは、どのようにして造られた町なのでしょうか?
エディンバラでは、4000年前には狩猟民族などが既に生活していたと言われています。
現エディンバラの基礎が出来上がったのは6世紀のこと。
アイルランドからケルト系民族のスコット人が移住してきて町を形成しました。
1034年、周辺の民族を統合し、スコットランド王国を建国。
初代王は、マルコム3世です。
しかしその当時、エディンバラはスコットランドの首都ではありませんでした。
当時の首都は、パースです。
パースからエディンバラに遷都されたのは、1439年のことです。
スコットランドは元々独立国でしたが、度々イングランドと戦争を起こしていました。
1603年にジェームズ6世がジェームズ1世としてイングランド王に即位すると、瞬く間にスコットランドとイングランドの併合が進みます。
1707年、スコットランドは完全にイングランドに併合されました。
イングランドに併合されてから、エディンバラは文化都市として発展していくようになります。
エディンバラは今尚ケルト文化を継承し、スコットランド人は自分たちの民族を誇りに思い、スコットランド文化を守りながら生活しています。
エディンバラの旧市街には、イギリス王家を象徴する2つの建物があります。
ひとつ目は、エディンバラ城です。
エディンバラ城は、標高120mの断崖に築かれた天然要塞で、その起源は7世紀のことです。
そして、11世紀にマルカム3世がそこを王宮としました。
しかし、実際には王宮として利用されるのは稀であったといわれています。
エディンバラ城の敷地は非常に広大で、その中には宮殿やセント・マーガレット礼拝堂、数か所の砲台やスコットランド王立戦争記念館、礼拝堂などがあります。
セント・マーガレット礼拝堂は、ローマ・カトリックの敬虔な信徒で奉仕活動に身を捧げたマルカム3世の妃、マーガレットに因んでいます。
聖堂には、美しいマーガレットのステンドグラスがあり、聖堂に明るくあたたかい空気をもたらしています。
エディンバラ旧市街にある、王家を象徴するもう一つの建物はホリルードハウス宮殿です。
ここは、1128年に建造され、その後戦争などにより、破壊と再建が繰り返された場所です。
現宮殿は、建築家ウィリアム・ブルースによって再建された17世紀の建築物です。
元々はアウグスティヌス修道会の聖堂として建てられた場所をジェームズ4世が宮殿に改築し、それ以来、イギリス王家ゆかりの場所になっています。
現在では、エリザベス女王がスコットランドを訪問する際に公式の宮殿として利用されています。
エディンバラを象徴する「エディンバラ城」と「ホリルードハウス宮殿」の2つの建造物を結んでいるのは「ロイヤル・マイル」と呼ばれる1マイルの道です。
エディンバラ市内を東西に延びるこの道は「キャッスルヒル」「ローン・マーケット」「ハイ・ストリート」「キャノン・ゲート」の4ブロックで構成されています。
この道のりには、16世紀~17世紀に建てられた建築物が連なっており、古き良きエディンバラを堪能するには一番適しているところかもしれません。
「ハイ・ストリート」には、「セント・ジャイルズ大聖堂」という大きな聖堂があります。
この聖堂は、フランスの聖人セント・ジャイルズに因んで9世紀頃に造られ、12世紀後半にノルマン様式に改築されました。
王冠型の塔を有するこの聖堂は、ロイヤル・マイルの代表的な建物の一つで、立ち寄ってみることをお勧めします。
エディンバラの文化人について知るために訪れたい場所は、「レディ・ステアズ・ハウス」です。
ここには、詩人ロバート・バーンズや詩人で歴史小説家のサー・ウォルター・スコットゆかりの品々が展示されており、エディンバラ文化最盛期の足跡を見ることができます。
旧市街は、イングランド併合以前の純スコットランドのテイストが溢れる場所です。
スコットランド史に思いを馳せるなら、まずは旧市街を散策してみることをお勧めします。
エディンバラの新市街は、18世紀に建設計画が始まりました。
その頃のスコットランドはイングランドに併合され、穏やかで文化活動が盛んな時代でした。
しかしその一方で、人口が増え続け、地下にも住居を拡大したために、街全体が非常に不衛生になりました。
太陽の光も差さないじめじめとした空間が広がる中で、市としては、何とかその状況を打開しなければならなくなりました。
1767年、市は新市街建設計画案を公募しました。
そして選ばれたのは、若き無名の建築家ジェームズ・クレイグの案です。
彼が目指した都市は、起伏に富んだ地形を生かした立体的な空間づくりです。
更に、道路を広くとり、建物と道路を碁盤の目のように整然と整え、道と道を繋ぐ広場に曲線的な要素を加えました。
こうしてできた新市街は、整然としているだけでなく、柔らかさを交えた優雅なものになったのです。
新市街は、旧市街とは全く違う構造になりました。
しかし、旧市街と新市街のコントラストがまたエディンバラを非常にユニークに演出しています。
そういう点では、旧市街と新市街の両方をくまなく訪れ、存分に比べてみるのがお勧めです。
旧市街の北側に新市街がありますが、その境目には「プリンシズ通り」という道が走っています。
洒落たお店やホテルなどが立ち並び、旧・新市街両方へのアクセスを考慮に入れると、最も拠点にしやすいところだと思います。